こんにちは
プロフィギュアスケーター羽生結弦選手が青森県八戸市で単独アイスショーを公演することを発表した際、すでに宿泊予約をしていた客が勝手にキャンセルされる事態が発生しています。
そしてキャンセルした宿泊の枠が一気に値上げをされていて、ネット上では詐欺だと大炎上を起こしています。
今回の騒動にホテル側の違法性はあるのか?調べてみました。
「ホテル等の予約」は本契約になる
本来、契約というものは利用者の「申込み」とホテル側の「承諾」という意思の合致があった時点で成立します。
そしてそれはホテル等の「宿泊約款(しゅくはくやっかん)」が設けられていて、それにより決められています。
↓ホテルセレクトの宿泊約款の一部抜粋↓
第 3 条(宿泊契約の成立)
宿泊契約は、当ホテルが前条の申し込みを承諾したときに成立するものとします。
ただし、当ホテルが承諾をしなかったことを証明したときは、この限りではありませ
ん。
この約款によると予約という申込みをホテル側が承諾した時点で「契約」がされたものと考えられます。
つまり「宿泊の予約」は”仮押さえ的な意味”にとどまらず、予約を受け付けた時点で「宿泊契約」という”本契約が成立する”ことになるのです。
契約解除するには?契約解除権とは?
宿泊契約が締結した後に一方的に解除をするには約款に「解除できる権利」を定義する必要があります。
↓ホテルセレクトの宿泊約款の一部抜粋↓
第 6 条(当ホテルの契約解除権)
1.当ホテルは、次に掲げる場合において宿泊契約を解除することがあります。
(1)宿泊客が宿泊に関し、法令の規定、公の秩序若しくは善良の風俗に反する
行為をするおそれがあると認められるとき、又は同行為をしたと認められる
とき。
(2) 宿泊客が次のイからハに該当すると認められるとき。
イ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成 3 年法律第 7 7
号)第 2 条第 2 号に規定する暴力団(以下「暴力団」という。)同条第 2 条第
6 号に規定する暴力団員(以下「暴力団員」という。)、暴力団準構成員又
は暴力団関係者その他の反社会的勢力
ロ 暴力団又は暴力団員が事業活動を支配する法人その他の団体であると
き
ハ 法人でその役員のうちに暴力団員に該当する者があるもの
(3) 宿泊客が他の宿泊客に著しい迷惑を及ぼす言動をしたとき。
(4) 宿泊客が伝染病者であると明らかに認められるとき。
(5) 宿泊に関し暴力的要求行為が行われ、又は合理的な範囲を超える負担を求
められたとき。
(6) 天災等不可抗力に起因する事由により宿泊させることができないとき。
(7) 法令で定める宿泊拒否事由及び解除事由に該当する場合。
(8) 寝室での寝たばこ、消防用設備等に対するいたずら、その他当ホテルが
定める利用規則の禁止事項に従わないとき。
2.当ホテルが前項の規定に基づいて宿泊契約を解除したときは、宿泊客がいまだ
提供を受けていない宿泊サービス等の料金はいただきません。
3.当ホテルは、本条項に基づき宿泊契約を解除したことによる損害を賠償する責
を負いません。
この約款によると”ホテル側に危害を加える可能性があるもの以外”は契約解除ができる解除権は発生しないことになります。
ホテル側のペナルティは?
ここまでで約款に抵触されない限りホテル側が一方的に契約を解除することはできないことはわかりました。
それによるホテル側への罰則などはあるのでしょうか?
損害賠償は?
損害賠償請求権とは、故意または過失によって他人の権利や法益(法律上保護されるべき利益)を侵害した者に対して、それによって生じた損害の賠償を請求する権利のことです。
たとえば、車で事故を犯した場合、車を運転していた人に対して損害賠償を請求する権利が発生するという事です。
ここで、互いに損害賠償請求権がある場合に過失割合が起きるわけです。
つまり、一方的で不当なキャンセルにより損害が発生したことが証明できれば損害を賠償請求できるはかもしれません。
損害賠償しても・・・
例えば5,000円で宿泊予約していたのを一方的で不当なキャンセルで50,000円の宿しか取れなかった場合、差額の45,000円を損害賠償として請求できるとします。
ですが、損害賠償の弁護士費用などで完全に赤字になってしまいます。
こうなると消費者としては「こういったホテルにはもう関わらない」ぐらいしかできないです。
まとめ
一方的なキャンセルとその後の宿泊代の高値の吊上げにより炎上している件について調べてみました。
消費者としては泣き寝入るしかないのが悲しいところですね。
後は、消費者庁や公正取引委員会から「不当にキャンセルをした商品(宿泊枠)を補填せずに高値に吊上げた上に販売したこと」による罰則でもあればいいですが・・・
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